
一次試験の勉強中です。二次試験対策はいつから始めるべきですか?一次試験が終わってからで問題ないのか、一次試験と並行して始めるべきなのか、悩みます。
こんな方に向けて書いている記事です。
中小企業診断士の一次試験と二次試験の間は、例年、12週間程度しかありません。これを短く感じ、「早期から二次試験対策に着手すべきでは」と悩む方は多いです。
結論から言うと、私は一次試験終了後から二次試験対策に着手することを強く勧めています。この記事では、なぜそう考えるのかを、初学者の方でも分かるように丁寧に解説します。ぜひ参考にしてください。


執筆者:花月 諒(中小企業診断士)
通信講座と独自の二次試験解法を用いて、約200時間の学習で中小企業診断士試験に一発合格。効率の良い勉強法や合格をつかむマインドを発信。福岡県中小企業診断士協会所属。


中小企業診断士の二次試験はいつから勉強する?一次試験終了後からでもOKな理由3つ
初めて受ける方の場合、一次試験が終了してから二次試験の対策を始めることをおすすめします。理由は以下3つです。
- 一次試験に落ちたら本末転倒だから
- 二次試験で新たに覚えることは少ないから
- 短期間で結果を出す思考は合格後も役立つから
それぞれ、くわしくお話しします。
理由1:一次試験に落ちたら本末転倒だから
一次試験に合格しないと、二次試験の受験資格は得られせん。
受けられるかも分からない二次試験に時間を割いた結果、肝心の一次試験に落ちては本末転倒です。一次試験が終わるまでは、一次試験対策に全力を注ぎましょう。
ただし科目合格制度を使い、2〜3年かけて合格を目指している方であれば、一次試験の実施前から二次試験対策を始めても良いでしょう。
このあたりは以下の記事で解説しているので、興味がある方は読んでください。




理由2:二次試験で新たに覚えることは少ないから
二次試験合格に必要な知識は、一次試験の時点でほぼ習得しています。一次試験の経営情報システムや経営法務のように、直前期にゴリゴリ暗記する必要はありません。
そのため一次試験終了後から対策を始めても、十分に合格に必要な勉強時間は確保できます。



私が添削指導を行っていた生徒さんたちも、一次試験終了後から勉強を始め、平均150時間程度で合格をつかみました。
具体的なスケジュールの組み方は、次章で解説します。
理由3:短期間で結果を出す思考は合格後も役立つから
添削指導をたくさんやってきて感じたのですが、仕事や家庭で忙しい人ほど成果を出しています。
そのような人は、限られた時間をいかに効率よく使うか、ゴールから逆算して何をやればいいかを意識し、密度の高い勉強をしているからです。
たとえば職場でも、忙しくしている人の方が、お願いごとにすぐに対応していくれたりませんか?逆に、暇そうな人ほどいつまでもメール一本返さなかったりします。それと同じです。
二次試験は12週間で攻略できます。このブログまでたどり着くような熱心な方には、ぜひ短期集中で合格をつかんでいただきたいです。



短期集中で結果を出す思考は、合格後の仕事にも必ず役立ちます。
中小企業診断士二次試験をいつから対策するか|まずは積算で考えてみる
ここからは少し踏みこんで話します。勉強の開始時期は、「①必要な勉強量」「②あなたが勉強に割ける時間」から計算できます。
①も②も人によって違いますから、他人のブログやSNSを見ても、すぐに使える正解は載っていません。
私の記事では「自分なりの正解を考える知恵」をお伝えします。上記の①、②を分解して考えてみましょう。
①必要な勉強量を見積もる
まずは二次試験対策に必要なタスクと工数を見積もります。以下は私の例です。
タスク | 時間 |
---|---|
解法調査 | 1.0 |
解法作成 | 1.0 |
学習計画作成 | 1.0 |
事例1演習(5年分) | 10.0 |
事例2演習(5年分) | 10.0 |
事例3演習(5年分) | 10.0 |
事例4演習(論点別) | 20.0 |
事例4演習(10年分) | 20.0 |
その他 | 7.0 |
合計 | 80.0 |
私は合計80時間での合格を目指しました。二次試験は正解が公表されず、解き方は無数にあります。
調べ出すとキリがないので、解法調査と自分なりの解法作成を2時間で行いました。それで作ったのが以下の解法です。
設問文の指示を確認し、文章の型を作ります。大半の問題は、以下の例のように指示された事項を列挙すれば対応できます。
(例)理由は①~、②~、③~である。
与件文の中から、答えに使えそうな事実を探します。見つからない場合に限り、各事例の基礎知識を使います。
STEP2で集めた答えを、STEP1で作った文章の型にはめます。最後に文章の体裁や他の設問との整合性、設問の前提条件の読み落としがないかなどを確認します。
余計な思考を削り、とにかくシンプルにしました。そうでないと自分自身も使いこなせないと思ったからです。
演習は1コマ2時間(80分で解く+40分で復習)とし、5年分を解きます。事例4(財務・会計)だけは演習量が得点に比例すると感じたので10年分やりました。
②勉強に割ける時間を確認する
試験本番までに、どれくらい勉強時間を割けるかを確認します。これが①で見積もったより多いなら問題ありません。
私の場合、週に7時間、二次試験までに105時間は割けそうでした。(15週間×7時間。私が受験した2020年度は一次試験が7月に実施されたので、二次試験までの期間は15週間とやや長かった)
①で80時間と見積もったので、一次試験終了後からの開始で問題ありません。
ここで、もし時間が不足するようなら、以下の工夫を講じる必要があります。
- 必要な勉強量を減らす(予備校で添削を受けて時間短縮を図るなど)
- 勉強に割ける時間を増やす
特に「勉強に割ける時間を増やす」を意識しましょう。スマホでSNSやYouTubeを見ている暇があったら、机に向かって勉強すべきです。
中小企業診断士二次試験をいつから対策するか|逆算でタスクを設計するのが理想
実は、前章で説明した手順は、実際の私の思考とは異なります。
私は一次試験終了後からスタートすることを最初から決めていて、捻出できる勉強時間から逆算してタスクを設計しました。
一次試験終了後から始めるのは確定。でも二次試験までには100時間くらいしか確保できそうにない。じゃあ100時間で合格レベルに到達するようにタスクと工数を見積もろう、という順番で考えました。
前章のような「積み上げ式」の思考も、何も考えないよりはずっとマシですが、スマートではりません。



限られた時間で成果が求められる経営コンサルティングの世界では「積み上げ式」だと太刀打ちできません。
逆算思考は面倒でストレスが溜まりますし「そんな短時間で受からないよ」と嘆きたくなる気持ちもわかります。
ただ、逆算思考ができないと、時間をたっぷり確保したところで、それを有効に活用するのは難しいでしょう。
中小企業診断士の勉強をされている方は、これを機に逆算思考にチャレンジしてみることをおすすめします!
おわりに:「相場」に惑わされず、あなたの歩幅で進もう
勉強を始める時期や、必要な学習時間の“相場”に、振り回される必要はありません。
なぜなら、あなたにとって必要な勉強量や確保できる時間は、他の誰でもなく“あなた自身”にしかわからないからです。
確かに、二次試験対策の勉強時間は300時間〜400時間が目安だと言われます。でもこれはあくまで「平均」であって、「上位18%しか受からない試験」において平均を追い求めても、あまり意味がありません。
今は便利な時代なので、検索すれば何でも答えが出てきます。ChatGPTに聞けば、それらしいことを教えてくれるでしょう。
でも結局、試験本番で問われるのは、「どれだけ自分の頭で考えられたか」です。
人と比べるのではなく、自分のペースで。この記事にたどり着くくらい、熱心に勉強法を調べているあなたを心から応援しています!
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