
中小企業診断士の副業ってどれくらい稼げるの?勉強を始める前にイメージをつかみたい。



試験に合格して診断士登録もしたけど、思うように仕事が取れない。何からやればいいの?
こんな悩みを抱える方に向けて、本記事では中小企業診断士の副業収入の全体像や収入アップに向けた戦略を、できるだけ具体的にお伝えします。
これから資格を目指す方、副業を始めたけど伸び悩んでいる方にとって、将来設計のヒントになることを願っています。


執筆者:花月 諒(中小企業診断士)
通信講座と独自の二次試験解法を用いて、約200時間の学習で中小企業診断士試験に一発合格。効率の良い勉強法や合格をつかむマインドを発信。2024年より株式会社あおいFASで、中小企業向けの事業再生支援やM&Aに従事。福岡県中小企業診断士協会所属。


最初に大切なことをお伝えすると、中小企業診断士の収入は「人による」としか言えません。なぜなら、中小企業診断士には勝手に降ってくる仕事はなく、自分で行動する必要があるからです。
副業で月に1円も稼げない人もいれば、月10万円を稼ぐ人もいます。月100万円以上を稼ぐ猛者もいます。まずは、なぜここまで年収の差が生まれるのかを解説します。
なぜ中小企業診断士の年収にこれほどの差が生まれるのか?
中小企業診断士の副業の年収に大きな差が生まれる理由は、大きく以下の3つです。
- 決まった仕事がないから
- 他士業や無資格者との競争が激しいから
- 行動力が成果に反映されやすいから
それぞれ詳しく解説します。
決まった仕事がないから
中小企業診断士は他の士業と異なり、「これは中小企業診断士にしか許されていない」という独占業務がありません。コンサルティングは企業が抱える経営課題を解決する仕事ですから、1つ1つの案件がオーダーメイドです。
補助金申請支援のように定型的に見える仕事も、企業への丁寧なヒアリングや、それに基づく経営ビジョン・事業戦略の整理などが必要で、どちらかと言えばオーダーメイドの世界です。(中小企業診断士の副業に「補助金申請支援」はアリ?|実務経験者が語る現場のリアルと始め方)
そのため、人によって、やっている仕事内容や収入に差が生まれやすいです。
他士業や無資格者との競争があるから
中小企業診断士ができる仕事の多くは、会計士・税理士・社労士など他の士業と競合します。そもそもコンサルティング業は資格がなくてもできる仕事のため、「中小企業診断士だからお仕事をいただける」という保証はありません。そのぶん、個人の能力や営業力が問われる資格とも言えます。
行動力が成果に反映されやすいから
中小企業診断士は、ただ待っているだけでは何も仕事は生まれません。他の士業と比べて、何ができる人なのか、経営者から見えづらいからです。
自分から情報を発信したり、中小企業診断士の仲間や他の士業の先生と交流する積極性が、収入を大きく左右します。最近ではSNSやブログなどのメディアを持つことも当たり前になりました。
逆に「案件を探す」「営業する」といった主体的な行動が苦手だと、せっかく時間をかけて取った資格が、宝の持ち腐れになってしまうことも。自分をどう世の中に出すかで結果は変わります。
副業の種類を知ろう|中小企業診断士が取り組める仕事とは
中小企業診断士は幅広い分野で活躍できますが、現実的に多くの方が取り組んでいる副業は以下です。
- 補助金申請支援(ものづくり補助金、事業再構築補助金など)
- 経営相談・経営顧問(商工会議所などの公的業務含む)
- セミナー・研修講師(商工会、支援機関、大学等)
- 執筆、出版、ブログ・SNSでの情報発信
副業には「フロー型」と「ストック型」の2種類があります。
フロー型 | 働いた時間、単価に応じて収益が生まれるもの |
ストック型 | 自分が働かなくても勝手に収益が生まれるもの |
補助金申請支援、経営相談員、セミナーなどは、依頼主と相談して1件あたりの報酬を決めて受注することが多いので、典型的なフロー型ビジネスです。
一方、補助金申請支援で蓄積したノウハウを電子書籍やnoteの有料記事にして売る、セミナーの様子をYouTubeのメンバーシップで公開するなどはストック型ビジネスです。仕組みを作ってしまえば、自分が寝ている間にも収益を生んでくれます。



ストック型ビジネスは、最初は大変ですが不労所得化できる点が魅力です。
中小企業診断士の副業で年収を増やす3ステップ
副業収入は一気に増やせるものではありません。私は以下の3つのステップに分けて考えることをおすすめしています。
本当に何でもいいです。ココナラで1時間1,000円の相談サービスを売るのでもいい、noteで100円の記事を売るのでもいい。とにかく「会社の後ろ盾なく、自分で稼ぐ経験」を積みます。最初の1円が最も大変です。
次に月5万円を目指します。経営相談員なら月2日、補助金申請支援なら、月1件で十分に到達できます。会社員の副収入としては十分な水準でしょう。5万円あれば本は30冊くらい買えますし、条件の良い物件に引っ越してQOLを高めることもできます。
5万円を突破したら、次は30万円を目指します。フロー型の仕事だけでここを目指すのは現実的に難しく、以下の工夫が必要になります。
- 高単価案件を獲得する
- 人を雇って自分の稼働時間を減らす
- ストック型ビジネスを取り入れる
この段階になると「ビジネス」視点が必要になります。
最初から「副業だけで暮らせるようになるんだ!」と意気込んではいけません。現状との差が大きすぎると、目標に現実味がないからです。まず、小さな目標に分解し、達成感を覚えながら先に進むと良いでしょう。(1円を生みだすのも、想像よりずっと大変ですが)
年収アップのコツ|継続的に伸ばすための3原則
副業の収入を伸ばすコツとして、以下3つをお伝えします。
1:収入源を分散する
株式投資の世界に「卵は1つのカゴに盛るな」という格言があります。極端に偏ったポートフォリオは危険ですよ、という意味ですが、これは副業も同じです。
月50万円の副業が1つある状態より、月10万円の副業が5つある方が圧倒的に価値が高いです。どれかがダメになっても、他の副業でカバーできるからです。



副業は儚いもので、一時期にはうまくいっていても、何かのきっかけでゼロに戻ることはザラにあります。
本業がある方は、何か1種類の副業でも構いませんが、ポートフォリオに厚みがあるほど、全体の収入も伸びやすいことは意識すると良いです。
2:ストック型ビジネスに注力する
私は31歳で独立してから約3年、色々な仕事をしましたが、ストック型ビジネスが優秀だとつくづく感じます。なぜなら、自分が病気で倒れたとしても、極端な話ですが自分が死んだとしても、一定期間は稼ぎ続けられるビジネスだからです。
士業の仕事は、世間の相場と比べると高単価ですが、時間の切り売りばかりをやっていては、いつまでもラットレースから抜け出せません。
自分が得た知見をコンテンツにして、求めている人に売る。コンテンツを売る方法はいくらでもあります。noteでもKindleの電子書籍でも、何でも構いません。
「へー、そういう世界もあるんだ。でもなんか怪しいよね」と思って何もしない人と、まず行動して何かを作る人とでは、大きな差が生まれます。
3:専門領域は絞る
稼ぎ方は分散する一方、専門分野は絞りましょう。前述の通り、中小企業診断士は企業の経営者から見ると「何ができるのか分かりづらい人」だからです。
- 「補助金に強い診断士」
- 「Web集客が得意な診断士」
- 「金融出身で資金調達支援に強い診断士」
中小企業診断士に独占業務がないことはネガティブに語られることが多いですが、裏を返せば、何でも専門分野にできる自由度が高いとも言えます。やることを絞れば、自分の専門性が高まり、依頼の数も単価も上がり、好循環を生み出せます。
まとめ|年収は“行動と設計”で伸びていく
今回は、中小企業診断士の副業で収入を伸ばす方法について話しました。中小企業診断士の稼ぎ方に正解や王道はなく、自分の興味や強みを踏まえて設計し、行動する力が必要です。
ただその中でも、私の経験から多くの方に活かせそうだと感じたこととして、以下のような内容をお伝えしました。
- 仕事の種類を知る(特にフロー型・ストック型の違いを理解することが重要)
- ステップを分ける(1円でも立派な副業です)
- ストック型を増やす&収入源の分散を意識する
少しでも役に立つ部分があれば幸いです。また以下の記事では、副業について、もう少し具体的に各論を掘り下げています。あわせてご覧ください。
»中小企業診断士だけど副業禁止…何ができる?|資格を活かす現実的な方法とこれからの選択肢
»【初心者向け】土日だけで稼げる!中小企業診断士の副業アイデア集(実例あり)
「稼げなかったらどうしよう…」という不安がある方も多いと思いますが、それは今からは伸び代しかない、むしろチャンスです。



楽しむ気持ちを持って、自分なりの仕事のあり方を探してみましょう!私も、皆さんと一緒に、もがきながら頑張ります(笑)
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