
中小企業診断士の勉強を始めました。一次試験の範囲が広いし、毎日忙しいので2年で合格を目指そうと考えています。どのような点に気をつけて勉強すればいいですか?
こんな疑問に、現役の中小企業診断士がお答えします。
仕事や家庭と両立しながら資格を取るのは大変ですよね。特に30代になると、仕事の責任が増し、自由に使える時間が限られてくるため、計画的な勉強が欠かせません。
また中小企業診断士試験は合格までに約1,000時間の勉強が必要と言われます。1日2時間勉強できるとしても、約1年半かかる計算です。そう考えると「2年計画」は現実的な選択肢といえます。
しかし2年計画にはリスクもあります。モチベーションの維持や、難易度の急激な変化への対応が課題になります。本記事では、2年で合格を目指すための具体的な勉強方法と前述のリスクについてくわしく解説します。


執筆者:花月 諒(中小企業診断士)
通信講座と独自の二次試験解法を用いて、約200時間の学習で中小企業診断士試験に一発合格。効率の良い勉強法や合格をつかむマインドを発信。2024年より株式会社あおいFASで、中小企業向けの事業再生支援やM&Aに従事。福岡県中小企業診断士協会所属。


中小企業診断士|2年計画で合格するプラン2つ
中小企業診断士に2年計画での合格を目指す場合、大きく以下2つのプランがあります。
プラン | 1年目 | 2年目 |
---|---|---|
プランA | ・一次試験の一部科目に合格 | ・一次試験合格 ・二次試験合格 |
プランB | ・一次試験合格 ・二次試験の受験は見送る (またはダメ元で一度受ける) | ・二次試験合格 |
それぞれのプランについて、勉強の手順やコツをお伝えします。
二次試験は一次試験に合格した年度と、その翌年度の2回しか受験できないルールになっています。「好きな年度に2回チャレンジできる」わけではないのでご注意ください。
2年計画|プランA(一次試験に2年かける)
ボリュームの多い一次試験を、科目合格制度を使って2年かけて突破し、二次試験は一発で合格するプランです。1年目・2年目の進め方の例を示します。
1年目:サブ4科目を攻略
1年目は一次試験7科目のうち、以下4科目の科目合格(60点以上)を目指します。
- 経済学・経済政策
- 経営法務
- 経営情報システム
- 中小企業経営・中小企業政策



私はこれをサブ4科目と呼んでいます。サブ4科目は二次試験との関連が薄く、かつ暗記が中心で短期間で得点しやすいのが特徴です。まずこれを1年目に片付けましょう。
1年目の学習スケジュール(例)
- 1月〜:経済学・経済政策
- 3月〜:経営法務
- 5月〜:経営情報システム
- 6月〜:中小企業経営・中小企業政策
- 7月〜:総復習
サブ4科目の中で、暗記だけでなく「理解」が必要になる経済学・経済政策を早めに着手し、その後に他の3科目を進めます。ラスト1ヶ月は全科目の復習に充てます。
2年目:メイン3科目&二次試験を攻略
2年目は一次試験の残り3科目の合格を目指します。私は以下を「メイン3科目」と呼んでいます。
- 財務・会計
- 企業経営理論
- 運営管理
2年目は残った3科目全部で60点以上を取る必要はありません。赤点(40点未満)を回避しつつ、3科目合計で60%(180点以上)取れたら合格です。
メイン3科目は二次試験と密接に関わるため、2年目に回す方が合理的です。2年目の1〜3月ごろに一度、二次試験の過去問を解いておくと良いでしょう。一次試験の出題形式に慣れ、一次試験終了後にスムーズに二次試験対策を始められるからです。
2年目の学習スケジュール(例)
- 8月〜:財務・会計
- 9月〜:企業経営理論
- 10月〜:運営管理
- 翌年1〜3月:二次試験演習(軽めに)
- 4〜7月:一次試験直前対策
- 8月〜:二次試験対策(過去問演習)
2年計画|プランB(二次試験に2年かける)
一次試験は1回で合格を目指し、二次試験は翌年の合格を目指すプランです。例年、一次試験と二次試験の間隔が12週間ほどしかなくタイトなので、初年度はパスするかダメ元で受験し、翌年に余裕を持って合格を目指す意図です。
このプランBを組む方は意外と多いのですが、結論から言うと私はおすすめしません。理由は以下の3つです。
- 二次試験は12週間で十分対策可能な試験です。
- 前述の通り、二次試験は一次試験合格の年度と翌年度の2回しか受けられません。プランBは初年度に合格できるチャンスを自ら捨てる選択であり、もったいないです。
- 2年目「今回が最初で最後の二次試験。絶対に落とせない…」というプレッシャーが重くのしかかります。
実際に私が以前、二次試験の受験指導をした方の中には「去年、一次試験に受かりましたが、仕事の都合で二次試験は受験を見送りました。今年一発で絶対に受かるよう頑張ります」と言って申し込んできた方もいました。しかし残念ながらそれで受かったケースはありませんでした。



厳しい言い方ですが「対策期間が短いから間に合わない」はきつい勉強から逃げる言い訳に過ぎません。「与えられた時間で成果を出すにはどうすれば良いか?」を考える方が経営コンサルタントとしては正しいですし、資格試験でも成功に近づけます。
中小企業診断士|2年計画のリスク3つ
ゆとりを持って勉強したい気持ちは分かりますが、2年計画には以下のリスクがあります。
- やる気を維持できない
- ハズレ科目を引いて計画が狂いやすい
- 下方修正が生じやすい
どういうことか、くわしく話します。
①やる気を維持できない
働きながら2年間勉強を継続するのは、思った以上に大変です。途中で仕事が忙しくなったり、プライベートの予定が増えたりして、勉強時間を確保できなくなることもあります。
どうしても2年かけるなら、やる気とかモチベーションに関係なく勉強が続けれられる仕組みを作ることを意識しましょう。一番簡単なのはルーティン化です。私の場合、基本的に毎朝5時に起きて2時間勉強しています。最初はきつかったのですが、1ヶ月くらい続けると苦ではなくなります。
その他、向上心がある仲間を見つけて話をするとか、小さな目標(今月はこの科目を仕上げる、みたいな)を設定し、1つ1つに達成感を味わえるようにするとか、そうした工夫が必要になります。
②ハズレ科目を引いて計画が狂いやすい
プラン1(一次試験に2年で合格する)の場合、1年目の受験科目はいずれも合格点(60点)を取らないといけません。これが結構大変です。なぜならハズレ年を引く可能性があるからです。
たとえば2024年度(令和6年度)の「中小企業経営・中小企業政策」の科目合格率は5.6%でした。
科目受験者数 | 16,175人 |
科目合格者数 | 899人 |
科目合格率 | 5.6% |
「科目合格者数」の899人とは「一次試験全体では合格基準を満たせなかったけど、中小企業経営・中小企業政策では60点以上取れました」という人の数です。(プラン1における1年目と同じような状況です)
こんな合格率の年を引くと悲惨です。1年目に科目合格するはずだった科目を2年目に送る必要が生じ、プランが狂います。



ハズレ科目になりやすいのは経営法務、経営情報システム、中小企業経営・中小企業政策など、二次試験では使わず2年目に回しづらい科目ばかり。ここがプラン1の難しさです。
本来、一次試験は得意科目で70点台を取り、他の科目をカバーして一発合格するのが効率的です。以下は私が一次試験対策を始めたときに立てた合格プランで、実際もほぼ同じような点数を取りました。
科目 | 得点 |
---|---|
経済学・経済政策 | 72点 |
財務・会計 | 72点 |
企業経営理論 | 72点 |
運営管理 | 56点 |
経営法務 | 56点 |
経営情報システム | 56点 |
中小企業経営・中小企業政策 | 56点 |
合計 | 440点 |
このようなプランならハズレ科目を引いても他でカバーできます。
③下方修正が生じやすい
上記のように、やる気の維持が難しくなったり、ハズレ科目に遭遇した結果「やっぱり2年は厳しいから、あと1年かけよう」と計画を下方修正しがちです。そこから「やっぱり資格はいいや…」と計画中止に至った人を、何人となく見てきました。
またプラン2では二次試験対策の期間を1年以上確保していますが、対策期間が長すぎると、いつ力を入れて勉強すべきか分かりづらくなる面もあります。



資格試験に限らず、何かで結果を出そうと思ったら、基本的には短期集中型で自分に負荷をかけたほうが、実現できる可能性は広がると考えています。
まとめ
今回は、中小企業診断士試験を2年計画で合格するプランの立て方やそのリスクを解説しました。最後に要点を整理します。
- 2年計画では一次試験を2年かけて合格するプラン1が基本
- 1年目はサブ4科目の科目合格(60点以上)を目指す
- 勉強が長期化するのはスケジュールにゆとりを持てる反面、リスクもある
適切な戦略・計画を立てて勉強すれば2年計画での合格は十分可能ですが、個人的には短期決戦をおすすめします。人生はそこまで長くはありませんので。
以下の記事で、私が200時間で中小企業診断士試験に一発合格した勉強法を解説しています。良かったらご覧ください。
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