「中小企業診断士の試験、興味はあるけれど、一発合格なんてとても無理…」
「仕事に家庭に忙しくて、まとまった勉強時間がとれない」
そんなあなたに向けて、この記事を書いています。
当ブログを含め、世の中には「短期間合格」のノウハウを語る記事がたくさんありますが、現実は人それぞれ。
特に、日々の仕事やご家庭の事情により、思うように時間が取れない人にとっては、「3年計画」も立派な戦略です。実際、私の周りでも3年かけてじっくりと学んで、中小企業診断士になった方はたくさんいらっしゃいます。
この記事では、そんな「3年計画で中小企業診断士を目指すあなた」に向けて、具体的な勉強の進め方や失敗しないポイント、心が折れそうなときの考え方まで、丁寧にお届けします。

執筆者:花月 諒(中小企業診断士)
通信講座と独自の二次試験解法を用いて、約200時間の学習で中小企業診断士試験に一発合格。効率の良い勉強法や合格をつかむマインドを発信。2024年より株式会社あおいFASで、中小企業向けの事業再生支援やM&Aに従事。福岡県中小企業診断士協会所属。

【全体像】3年計画で中小企業診断士合格を目指す基本ステップ
3年計画の場合、以下のように進めるのがおすすめです。
1〜2年目 | 一次試験合格 |
3年目 | 二次試験合格 |
科目合格制度を活用し、一次試験を2年かけて突破します。その後、じっくり1年間対策して、3年目に二次試験合格を目指します。各年の勉強法について、くわしく解説します。
1年目:一次試験科目合格(3〜4科目)
まずは一次試験のうち、3〜4科目程度の科目合格(60点以上)を目指します。取り組みやすい科目からで構いませんが、二次試験との関連が比較的薄い、以下の4科目から済ませておくのがおすすめです。
- 経済学・経済政策
- 経営法務
- 経営情報システム
- 中小企業経営・政策

私はこれらを「サブ4科目」と呼んでいます。
急に難易度が高くなる年があるのがネックですが、最初にサブ4科目を片付けておくと、後が楽になります。(このあたりの話は、2年計画で合格する勉強法の記事でくわしく解説しています。)
ちなみに、一次試験の科目合格だけでも、履歴書等の資格欄に以下の記載ができるようになります。
▲▲年度中小企業支援科目合格者(科目名)
くわしくは中小企業庁Webサイト「中小企業診断士 第一次試験合格者(科目合格含む)の皆さまへ」のページをご覧ください。
2年目:一次試験合格
2年目は一次試験合格を目指します。残った科目で一次試験の合格基準を満たせばOKです。(総得点の60%以上を取り、かつ40点未満の科目なし)
1年目にサブ4科目を終わらせておけば、残るのは以下3科目。私は「メイン3科目」と呼んでいます。
- 財務・会計
- 企業経営理論
- 運営管理
これらは二次試験にも深く関わる科目なので、焦らず丁寧に勉強して理解を深めましょう。
1年目で合格した科目は、事前に免除申請を行う必要があります。自動的に受験が免除されるわけではないので気をつけましょう。
一次試験に合格すると、履歴書等に書ける名称も以下のように変わります。
■■年度中小企業診断修得者
3年目:二次試験合格
3年目は二次試験対策に全力投球します。ストレートの受験生は、一次試験終了後から3ヶ月弱しか対策期間がありませんが、3年計画の場合は丸一年、勉強できます。よって、以下のようにじっくり時間をかけて対策に取り組むのがおすすめです。
- 9月〜:書籍等でインプット
- 1月〜:過去問演習を始める
- 7月〜:模試や添削で仕上げ
- 9月〜:総復習
対策を始めた当初はインプットを中心に、年明け1月ごろからはアウトプット(過去問演習)を中心に行いましょう。予備校の添削を受けたり、インターネットで二次試験対策のコミュニティに入ったりするのも一案です。
3年計画の注意点と解決策3つ
一見、勉強の期間が長く取れてメリットばかりに思う3年計画ですが、以下の3点には気をつけましょう。
- モチベーションの低下
- 教材選びのミス
- 二次試験のインプット過多
それぞれくわしく解説します。
モチベーションの低下
3年はかなりの長丁場。最大のネックは途中でモチベーションが低下することです。
対策は1分でもいいから毎日継続すること。1分でも勉強したら自分を褒めてあげることです。3年計画の場合、毎日2時間も3時間も勉強する必要はありません。それより、中小企業診断士の勉強に触れない日を作らないことが重要です。
たとえ少しでも勉強すれば、自分の知識が増えて前進します。それが複利のように、長期間をかけて積み上がっていきます。小さな積み重ねは、すぐに効果が見えなくても、半年、1年と続ければ大きな力になります。
逆に、スイッチが一度切れると、再びエンジンをかけるのは大変です。スイッチを入れ続けるのにおすすめなのは、スマホの習慣化アプリを使うことです。誰かと一緒に頑張りたいなら「みんチャレ」、一人で黙々と取り組みたいなら「DotHabit」などが良いでしょう。



私も「DotHabit」を愛用しています。マス目が少しずつ埋まっていくのが楽しいです。
教材選びのミス
予備校や通信講座で対策する場合、複数年の勉強に対応していないコースを選んでしまわないように気をつけましょう。余計な受講料を払うことになります。
予備校ならば、1.5年や2年のような長期のコースを選びましょう。通信講座ならば、2年目以降の再受講割引があるスタディングや、標準で3年間勉強できる診断士ゼミナールなどを選びましょう。
また市販の教材で対策する場合、必ず最新年度のもので勉強しましょう。法改正などで内容が変わっているリスクがあるからです。数千円のテキスト代をケチって、誤った知識を身につけ、本番で間違えてしまうのはもったいないです。
二次試験のインプット過多
3年計画は二次試験の対策期間を長く取れるのが大きなメリットですが、一方で、色々な解法を知りすぎて逆に迷いが生じるリスクがあります。二次試験は正解がなく、人によって解き方は様々です。調べれば調べるほど、沼にハマる恐れがあります。
二次試験で最も大切なのは、自分の頭で考える力です。誰かの解法を鵜呑みにするのではなく、集めた情報をもとに「自分なりの攻略法を、どのように組み立てるか」が重要です。



予備校で講義を受けたり、添削を受けたりするのも良いですが、あくまで考える主体は自分である、ということを忘れないようにしましょう。
まとめ|“3年計画で合格する”ことは、決して遠回りではない
たとえ時間がかかっても、あなたが試験勉強に取り組むその1日1日には、確かな価値があります。
人生には忙しいとき、余裕がないとき、思い通りに進めない時期もあります。そんな中で「あきらめずに前に進んだ3年間」は、必ず人生の財産になります。
そんなあなたの挑戦を、心から応援しています!意思の力ではなく、仕組みの力で継続する。これを意識して、ぜひ今日から頑張ってください。「いや、やはり短時間合格を目指したい」という方は、【独学】中小企業診断士完全攻略ガイド│200時間で一発合格した勉強法を読んでください。私のノウハウを全て公開しています。
コメント