中小企業診断士の二次試験対策として、過去問を何年分やるべきか——これは非常に多くの受験生が悩むポイントです。
この記事では、私自身の受験経験や、これまで添削指導してきた方々の傾向を踏まえ、「何年分やるべきか」について解説します。

執筆者:花月 諒(中小企業診断士)
通信講座と独自の二次試験解法を用いて、約200時間の学習で中小企業診断士試験に一発合格。効率の良い勉強法や合格をつかむマインドを発信。福岡県中小企業診断士協会所属。

中小企業診断士二次試験の過去問は何年分やるべき?
私の結論は「5年分」です。その理由は以下の2点です。
- 自分の型を作れるから
- それ以前の年度は現在と出題傾向が異なるから
それぞれ簡潔に説明します。
自分の型を作れるから
二次試験に合格するには、与件文の読解に慣れ、自分の型を作る必要があります。
5年分やれば、それぞれの事例をどのような手順で解けば良いかが、少しずつ分かってきます。
実際に過去問演習を進めると分かりますが、「どのような情報を与件文から拾い」「どのように設問に答えるか」は、事例によって微妙に異なります。
これらを肌で感じ、自分の中に「再現性ある型」として落とし込むには、5年分程度がちょうど良い塩梅なのです。
自分の型を作る重要性については、以下の記事で解説しています。合わせてご覧ください。

それ以前の年度は現在と出題傾向が異なるから
5年より前の過去問は、現在と出題傾向が異なります。
たとえば、以前の事例Ⅰ(人事・組織)では、今ほど事業承継やM&Aの論点が出ていませんし、事例Ⅲ(生産・技術)は、与件文や設問の構成が今と大きく異なります。
そうした事例を解くのがムダとは言いませんが、効率的ではないでしょう。
ということで、おすすめは5年分です。実際、私も5年分の演習で合格しましたし、私が添削指導をした生徒さんたちも、5年分で受かっています。
ただし事例Ⅳ(財務・会計)だけは、過去問5年分に加え、分野別の演習を細切れに毎日繰り返すことをおすすめします。
二次試験の過去問を何年分やるかは、勉強時間と合わせて考える
「何年分の過去問を解くか」だけでなく、「自分にそれだけの時間があるか」も考えましょう。
1事例の演習には、目安として2時間かかります。
(本番形式で80分+復習・振り返りに40分)
5年分なら20事例=40時間。これを2周するなら40事例=80時間が必要です。
一次試験が終わってから二次試験までは約80日。2周する場合は2日に1事例のペースで演習を行わないといけません。

初学の方のスケジュールは想像よりもタイトです。
したがって、「時間に限りがある人」は、何を捨て、どこを重点的にやるかを早めに決める必要があります。
二次試験の問題集は何年分に対応している?
何年分解くかを決めたら、それをカバーできるだけの参考書をそろえましょう。
独学の方は『ふぞろいな合格答案』シリーズがおすすめです。
2024年度の試験対策として5年分の過去問を解くなら、以下を揃えればOKです。
- ふぞろいな合格答案17
- ふぞろいな答案分析7
- ふぞろいな答案分析6
年数を伸ばすか、反復するか
5年分を終えてまだ時間に余裕があるとき、以下のどちらにするかを悩む方は多いです。
- ①さらに過去の年度にさかのぼる
- ②同じ事例を繰り返す
私は②同じ事例を繰り返すをおすすめしてします。その理由は前述のとおり、「古い年度の問題は出題傾向が現在と異なる」からです。
また反復の目的は、解答を覚えることではありません。大切なのは、「自分の型を使いつつ、都度、思考を組み立て直すこと」です。
同じ問題でも、日によって「与件の読み取り」や「切り口の選び方」が変わる。それを客観的に観察することで、スキルが定着します。
まとめ
今回は、中小企業診断士二次試験の過去問を何年分解くか、という疑問に答えいました。要点を整理します。
- 二次試験の過去問は5年分(20事例)を解く
- 事例Ⅳ(財務・会計)は分野別の演習もする
- 事例数を考えるときは、勉強時間も確認する
- 古い年度に手を出すより、5年分の反復を優先する
限られた時間で最大の成果を出すには、「年数」よりも、演習の「質」と「繰り返し方」が重要です。
自分の型を意識しながら、1事例1事例に向き合ってみてください。二次試験対策に取り組む方を、心から応援しています!
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