中小企業診断士の二次試験は、一次試験とは性質が大きく異なります。受かる人は一発で受かりますが、落ちる人は何度もつまずきます。
落ちる人と受かる人の違いはどこにあるのか。それが気になる方は多いと思います。
私はこれまで多くの受験生の答案を添削した経験がありますが、その中で「落ちる人」には共通するパターンがあることが分かりました。
今回はそんな私の経験をもとに「二次試験に落ちる人の特徴」を10個ご紹介します。

執筆者:花月 諒(中小企業診断士)
通信講座と独自の二次試験解法を用いて、約200時間の学習で中小企業診断士試験に一発合格。効率の良い勉強法や合格をつかむマインドを発信。福岡県中小企業診断士協会所属。


これから受験する方も、すでに一度落ちて悔しい思いをした方も、自分を見つめ直すヒントとして、この記事が少しでも役に立てば嬉しく思います。
中小企業診断士二次試験に落ちる人の特徴(表面的なこと)
二次試験に落ちる人の特徴として、以下の5つをお話しします。
- 根拠のない思いつきを書く
- 型を決めていない
- キーワード偏重
- 時間配分と手順を決めていない
- 暗記に頼っている
落ちる人は、ほぼ上記のいずれか(または複数)に該当しています。
根拠のない思いつきを書く
これが最も多い誤りです。自分の経験やその場のひらめきで書いたアイデアを書いてしまう。創造的といえば響きは良いですが、得点につながりません。
なぜなら、二次試験はその人固有の経験則では差がつかないように設計されているからです。国家資格の試験として公平性を保つために、それは当然のことです。
求められているのは、「与件文に書かれている事実」や「一次試験レベルの基礎知識」をもとに、論理的で平易な解答を導き出す力です。



キャリアを重ねた人ほど、自らの知識や経験に頼りやすいので、気をつけましょう。
型を決めていない
すべての設問を毎回ゼロベースで考えている人は、なかなか受かりません。
二次試験は各事例で80分しか時間がなく、その都度、解き方を考えているようでは100%時間切れに陥るからです。
実際、型を決めていない人は答案用紙を全て埋めることも難しいです。
正解は無い世界ですが、ともかく自分なりの「型」を編み出すことが合格への道です。
キーワード偏重
二次試験対策のテキストでは『ふぞろいな合格答案』シリーズが最も有名です。これだけで独学合格できるくらい、優れた内容であることは間違いありません。
しかし『ふぞろい』に傾倒しすぎると、ただキーワードを羅列しただけで、論理が破綻している答案を作りやすくなる懸念があります。
キーワードは重要ですが、それだけでは足りません。設問どうしの整合性や文章の読みやすさもしっかり見られています。
しかも2023年度ごろからは『ふぞろい』流での攻略を阻止するかのような設問も見受けられます。



型は必要ですが、ただ覚えるだけでは突破が難しくなっています。
時間配分と手順を決めていない
「型を決めていない」と似ていますが、こちらもありがちなパターンです。
80分で4問または5問の設問を解くには、計画的な時間配分と手順の検討が不可欠です。
「いつも時間が足りない」「マス目が埋まらない」という人は、問題をどう分解し、どの順序で取り組むのかを設計できていないケースが多いです。
私は以下のような時間配分で解いていました。
手順 | 時間 |
---|---|
1. 設問文を読む | 2分 |
2. 与件文を読む | 8分 |
3. 設問を解く | 60分(12分×5問) |
(3-1. 文章の型を考える | (2分 |
(3-2. 答えを探す | (6分 |
(3-3. 合体する(文章を書く) | (4分 |
4. 誤字・脱字の確認 | 10分 |
演習を重ねながら、自分なりの解き方を確立しましょう。
暗記に頼っている
「テキストの基礎知識や模範答案を暗記すれば何とかなる」と思っていませんか?実はそういうタイプの方は受かりづらいです。
なぜなら、二次試験は知識を問う試験ではないからです。もちろん最低限必要な知識はありますが、それよりも、知識をどう使うかに重きが置かれています。



二次試験は「考える力」を測る試験です。
実際、私が指導していた生徒さんでも、一生懸命、解答例を暗記するタイプの方は少なくありませんでした。もちろん演習のときには高得点が取れますが、模試や本番になると応用が効きません。
暗記に頼らず、自分で考え抜く訓練を積み重ねましょう。
中小企業診断士二次試験に落ちる人の特徴(本質的なこと)
以前、この記事は前章までの内容で終わっていました。ただ前章で話したことは、試験本番の答案用紙に現れた表面的な特徴に過ぎません。
もっと根深いところに不合格の原因があるのでは?とずっと私は思っていました。
添削指導を通じて生徒さんとやりとりを重ね、もっと本質的な「落ちる人の特徴」がわかってきたので、追加で以下5つをお話しします。
- 主体性が乏しい
- SNS・YouTube中毒
- 「でも」が多い
- 生活リズムが勉強仕様じゃない
- 自分を信じていない



ここからはフランクに話します。耳が痛くなる方もいるかもしれません。悪しからず。
主体性が乏しい
二次試験の添削指導をやっていて、これはめちゃくちゃ感じました。
落ちる人は、口には出さないけれども「先生が手取り足取り教えてくれるんでしょ。よろしくお願いしますね」というスタンスの方が少なくありませんでした。
単なる受け身では、まず合格できません。合格者に話を聞いたり、インターネット上で情報を探したりすること自体は悪くありませんが、それらを鵜呑みにして自ら考える姿勢を放棄するのはまずいです。
どんな教材や予備校を使おうが、合否の責任は自分で持つ。まずそこからスタートです。
SNS・YouTube中毒
これも本当に多いです。SNSもYouTubeも、優秀なアルゴリズムが次から次へと自分好みのコンテンツを供給してきます。
それらに呑み込まれた生活を送っていると、時間を奪われるだけでなく、二次試験の合格に必須である思考力・表現力も損なわれます。
つぶやきやコメントで感情を発散したところで、「物事を考えて書く力」は鍛えられません。
そんなことより、紙のノートに1日1ページ、自らの考えを書く方がよほど良い習慣です。



私はSNSは一切やりません。YouTubeもiPhoneの「スクリーンタイム」機能を使い、アクセスできないようにしています。
「でも」が多い
「自分はこう思う」「このやり方が正しい」と思いこんでいませんか?
似たような属性の人たちと、同じような仕事ばかりするのは楽ですが、無自覚に視野が狭くなります。
少しでも自分の価値観と異なる意見を聞いたとき、すぐに「でもそれは違うでしょ」と拒絶する人は、設問の出題意図を読み違えがちです。



勉強でも仕事でも、素直で損をすることは少ないと思います。
二次試験では、冷静に他人の視点を想像する力が求められます。
生活リズムが勉強仕様じゃない
以前、添削指導をしていた生徒さんで、毎回、深夜二時ごろに答案を送ってくる方がいました。
話を聞いてみると、残業が多く、毎晩22時ごろまで仕事をしているとのこと。
そこから夕食をとって軽く酒を飲み、風呂に入り、タバコで一服してから演習に取り組んでいたそうです。演習後に寝て、起きるのは朝10時過ぎ。
正直、この生活リズムでは絶対に受かりません。試験本番は朝から始まるので、朝型にシフトするのが理想です。
このような場合、まずは生活習慣(食事・運動・睡眠)を整えることから始めなくてはなりません。
自分を信じていない
完全なる精神論ですが、これも大きいです。自分には無理だと口にして受かった人は、あまり見たことがありません。
言霊というくらいで、言葉には力があります。「落ちるかも」「今年もだめそう」などと弱音を吐いていると、本当にその通りの未来になります。
人の意見に流されず、自分を信じる。黙って机に向かい、孤独に耐えて勉強する。それが合格への最短ルートに思います。
落ちる人から受かる人になるには
「受かる人」になるためには、本記事で紹介した「落ちる人」の特徴を裏返せばOKです。
- 自らの結果に対して責任を持つ
- 余計な情報を遮断する(特にSNSとYouTubeは毒)
- 成功例を素直に受け入れた上で、自分の頭で考える
- 生活リズムや働き方を整える
- 根拠を積み重ねた上で、自分の合格を信じる
小手先のテクニックより、マインドを見直すことが大事です。マインドを見直せば、自然と思考の質、答案の質は向上します。
個人的には、スマホを遠ざけることが非常に大切に思います。
SNSで流れてくる他人の投稿に一喜一憂したり、YouTubeやTikTokでショート動画を見て笑ったところで、合格には1ミリも近づきません。



その1秒は、あなたの命を削っている貴重な1秒です。
おわりに
今回は二次試験に落ちる人の特徴を、添削指導をしてきた私の経験をもとにお話ししました。
二次試験は教科書を丸暗記するだけでは受かりません。逆に、普段から「考えること」に真剣に取り組んでいる人は、短時間で受かります。そういう試験です。
習慣を変えるには時間がかかりますが、意識すれば必ず結果は出ます。
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