
中小企業診断士の二次試験対策を始めようかと思っています。勉強時間はどれくらいを確保すれば良いですか。
このような疑問に、現役の中小企業診断士が答える記事です。
一般的に、中小企業診断士二次試験の勉強時間の目安は300時間〜400時間程度と言われます。しかし、工夫次第で勉強時間は大幅に短縮できます。
この記事では実際に80時間の学習で二次試験に合格し、添削指導した生徒さんを平均150時間程度で合格に導いた私の経験をもとに、二次試験の勉強時間についてお話しします。
これから二次試験に挑まれる方は、ぜひ参考にしてください。


執筆者:花月 諒(中小企業診断士)
通信講座と独自の二次試験解法を用いて、約200時間の学習で中小企業診断士試験に一発合格。効率の良い勉強法や合格をつかむマインドを発信。福岡県中小企業診断士協会所属。


中小企業診断士の二次試験合格に必要な勉強時間
目安は300〜400時間と言われるが…
前述の通り、二次試験合格に必要な勉強時間の目安は、300〜400時間と言われています。
二次試験対策の参考書で有名な『ふぞろいな合格答案(エピソード16)』に掲載されている、合格者6名の勉強時間の平均は367時間でした。
一次試験と二次試験の間は、例年80日〜90日程度。ストレートで合格を目指すなら、1日4時間くらい勉強しないといけない計算です。



働きながらこなすのは、ちょっと厳しい勉強量ですよね。
書いておいてなんですが、「目安」の勉強時間は気にしなくてOKです。二次試験の合格率は約18%。複数回受けて合格する方が多く、結果として勉強時間の相場が膨らんでいるからです。
一発合格する方は、もっと少ない時間で乗り越えています。次節で、私が添削指導をした生徒さんの実例を紹介します。
150時間で受かった生徒さんの例
私が添削指導を行い、150時間の勉強で合格した方の例をご紹介します。
性別 | 男性 |
年代 | 50代後半 |
職業 | 士業 |
勉強の動機 | セカンドライセンスとして取得し、仕事の幅を広げるため |
合格年 | 2023年度(令和5年度) |
士業のお仕事をされている方で、国内外の出張も多く、非常にお忙しい方でした。
忙しい日々の中、始業前や移動中に勉強時間を確保され、150時間の勉強で合格をつかみました。勉強時間の内訳は以下でした。
事例 | 勉強時間 |
---|---|
事例Ⅰ | 25時間 |
事例Ⅱ | 25時間 |
事例Ⅲ | 25時間 |
事例Ⅳ | 75時間 |
合計 | 150時間 |
事例Ⅰ〜Ⅲは、5年分を2周(10事例)行いました。1回当たりの演習は2.5時間(150分)で、その内訳は以下です。
- 答案作成:80分
- 自己復習:40分
- 添削後の復習:30分
事例Ⅳは、5年×2周の演習に加え、『事例Ⅳの全知識・全ノウハウ』の分野別演習を50時間行いました。



過去問は、5年分を解くことをおすすめしています。くわしくは以下の記事をご覧ください。


ストレートでの合格を目指すなら、この方と同じ150時間くらいがリアルな目安になるのではと思います。
中小企業診断士二次試験の勉強時間は自分で決めていい
ここからは勉強時間に対する私の考え方を、実体験に基づいて話します。
私が一次試験を初めて受けたのは2020年度。科目合格狙いでしたが、歴史的な当たり年(合格率40%超え)を引き、突破できました。
余談ですが、国は中小企業診断士を増やそうと頑張っており、難易度の調整や制度の見直しなどを色々やってます。くわしくは中小企業診断士の制度見直し・変更についてで解説しています。
せっかくのチャンスだから、二次試験も一発で受かろうと目論みました。
しかし当時は監査法人系のコンサルティング会社で連日連夜、スライドの山を生産する生活でした。見積もったところ、どうやっても100時間くらいしか勉強時間を確保できない。
それなら100時間で受かるようにやるべきタスクを設計しようと考えました。そうして考えたのが以下です。
タスク | 時間 |
---|---|
解法調査 | 1.0 |
解法作成 | 1.0 |
学習計画作成 | 1.0 |
事例1演習(5年分) | 10.0 |
事例2演習(5年分) | 10.0 |
事例3演習(5年分) | 10.0 |
事例4演習(論点別) | 20.0 |
事例4演習(10年分) | 20.0 |
その他 | 7.0 |
合計 | 80.0 |
バッファも考慮し、80時間で合格するプランを立てました。



本当は先ほど紹介した生徒さんの例のように5年分×2周やりたいところでしたが、諦めて1回1回の質を高める方針にしました。
逆算思考というほどカッコよくないですが、行き当たりばったりで闇雲に挑むより、はるかに効率的だったと思います。
この辺りの話は以下の記事でくわしく語っています。


二次試験は自分で決めた時間で合格できる(突拍子もない短時間じゃなければ)と考えています。
二次試験の勉強時間を短縮するなら添削指導がおすすめ。ただし…
中小企業診断士二次試験は何を求められているかが非常につかみづらい試験です。正解も公表されず、解き方も三者三様です。
勉強時間を短縮したいなら、予備校で添削指導を受けるのが良いでしょう。
TACやLECの大手でも二次試験講座は開講されていますし、MMC、AAS、SLAなど専門の予備校もあります。
ただ添削指導を受けるにあたり、1つ大きな注意点があります。それは「受け身にならない」ことです。
実際に添削指導をやってよく分かったのですが、受かる人は「添削を受けて時短しつつ、自分の頭で考える」マインドを持っています。
反対に、落ちる人は「先生の言うとおりにやれば受かるんですよね、手取り足取り教えてください」という人が多いです。
言い換えると、「予備校を利用する」人は受かりやすい、「予備校に頼る」人は受かりにくいということです。
二次試験はマインドセットの違いが大きく影響します。少し厳しい内容の記事ですが、以下も参考にしてください。


時間への感度を高める
資格試験に限らず、何かで結果を出したいと思うのなら、時間への感度を高めましょう。
現代は時間を奪ってくる魔物が多すぎます。SNSやYouTubeで刺激的な情報を浴びて脳汁を出し、気がづいたら数時間経っていた、という経験をした方は多いでしょう。
時間=自分の命です。まずはその時間を大切にする意識を持つことが、「短時間で何とか成果を出そう」という思考に繋がります。
日本には時間をかけることを美徳と捉える人が多いですが、資格試験に関しては合格できたかどうかがすべてです。
かけた勉強時間は問われていませんが、同じ合格であれば、できるだけ短時間で目指したいものです。



結果的に、思うような短時間で合格できなくても、それを目指すことに意味があります。
まとめ
今回は中小企業診断士二次試験の合格に必要な勉強時間について話しました。最後に要点を整理します。
- 一般的な目安は300〜400時間とされるが、あまり気にしなくて良い
- ストレート合格を目指す場合のリアルな目安は150時間。逆算思考で望めばもっと減らせる
- 添削指導を受けるのは時間短縮に役立つが、受け身になるのはダメ
- 日頃から時間への感度を高めるとともに、結果を重視して行動しよう
「勉強時間を減らしたい」と考えてこんなニッチな記事を最後まで読んでくださった時点で、成功への道は踏み出しています。
読者の皆さまが合格をつかむことを、心から願っています。
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