中小企業診断士の二次試験は、多くの受験生が「受かる気がしない」と感じる試験です。
一次試験のように明確な正解がなく、解き方も人によって異なります。また予備校の再現答案やSNSでの合格報告を見て、自分との差を感じて落ちこむ人も多いです。
しかし、それはあなただけではありません。実は、多くの合格者も試験前には同じような不安を抱えていました。
この記事では二次試験に「受かる気がしない」と感じる方に向けて、実用的なアドバイスを5つお届けします。ぜひ日々の学習に役立ててもらえると嬉しいです。

執筆者:花月 諒(中小企業診断士)
通信講座と独自の二次試験解法を用いて、約200時間の学習で中小企業診断士試験に一発合格。効率の良い勉強法や合格をつかむマインドを発信。福岡県中小企業診断士協会所属。

それでは始めましょう!
中小企業診断士二次試験に「受かる気がしない」と感じるパターン3つ
まず「二次試験に受かる気がしない」と感じてしまうパターンとして、以下3つをご紹介します。
- SNSで他人の成果を見てへこむ
- 解答例を見てへこむ
- 実際に二次試験を受けてへこむ
最初にお伝えしておくと、上のいずれかのパターンで「受かる気がしない」と感じているなら、大丈夫です。正しく勉強すれば受かります。
SNSで他人の成果を見てへこむ
今の時代はこれが多いかもしれません。SNSには「一発合格しました」「全事例A評価でした」といった成果報告があふれています。
こうした投稿を見ると、自分との差に圧倒されて「もう無理なのでは」と感じるかもしれません。
しかし、SNSでは目立つ成功体験ばかりが強調されがちです。
それらはあくまでごく一部の受験者の体験にすぎないことを忘れず、冷静に距離をとりましょう。匿名・無料で利用できる性質上、それが真実かさえ怪しいです。
解答例を見てへこむ
『ふぞろいな合格答案』シリーズの再現答案や、予備校の解答例を見て、「こんな高度な答案は書けない」と自信を失う人も多いです。
しかし『ふぞろい』のAAランクレベルの答案や、大手予備校の解答例のような答案を作る必要はありません。
二次試験は上位18%程度が合格する試験ですし、そこにギリギリ入っていればOKです。『ふぞろい』でいうと、AランクとBランクの間くらいの答案を作れれば十分です。

小難しいことを頑張って書こうとすると、逆に意味不明な文章になりがちです。気を張らなくても大丈夫。
実際に二次試験を受けてへこむ
一度、二次試験を受けて不合格だった方は「もう無理」と感じやすいです。
たとえば「210点しか取れなかった(合格点は240点)」といった経験から、自分には向いていないと感じる人もいますが、それは単にアプローチが良くなかっただけの可能性が高いです。
一次試験を突破できた人なら、適切な準備と練習で十分に合格できます。
二次試験に受かる気がしないあなたへのアドバイス5つ
アドバイスとして以下5つをお贈りします。
- スマホに触れる時間を減らそう
- 自分なりの解法を考えよう
- タスクを分解しよう
- 楽観しよう
- 養成課程も視野に入れよう
①スマホに触れる時間を減らそう
スマホは集中力を著しく下げます。また受動的にSNSやYouTubeを見る時間が増えると、自分の頭で考える力が弱くなります。
SNSやYouTubeのアルゴリズムが、自分の信じたい情報、自分にとって都合の良い情報ばかりを抽出して表示してくるため、使うほどに思考の偏りが強まっていくのです。(エコーチェンバー効果)
二次試験は、与件文から必要な情報を選び取り、論理的に再構成する力が求められます。スマホ漬けになることで、この「情報の取捨選択力」が鈍くなる危険性があります。



実際、私がかつて添削指導をしていた時期、スマホへの依存度が高い受講生ほど合格率が低いように感じました。
SNSやYouTubeはアプリを削除。iPhoneならスクリーンタイム機能を使ってアクセス自体ができないようにもできます。
「ほどほどに使う」は意外に難しいので、思いっきて遮断するのも一案です。
②自分なりの解法を考えよう
結局、二次試験は「自分の頭で考える」ことがすべてです。誰かの解法をなぞるだけでは、本番での応用が効きません。「こうすれば良いのでは?」という自分なりの仮説を持つことが非常に重要です。
『ふぞろいな合格答案』のAランク答案をゴールと位置づけ、「どのように思考すればこのレベルの答案にたどり着けるか」を考えて、自分なりの解法パターンを作りましょう。
人によってそれぞれですが、私が編み出した解法は、【独学】中小企業診断士完全攻略ガイド│200時間で一発合格した勉強法で解説しています。
③タスクを分解する
試験日から逆算して、毎日「今日は何をするか」を具体的に考えておきましょう。行き当たりばったりではなく、週間単位・日単位でやるべきことを整理することが、気持ちの安定にもつながります。
二次試験の学習計画表のテンプレート(スプレッドシート)を共有します。ぜひ活用してください。



また、事例IV(財務・会計)の手計算だけは毎日欠かさず続けることをおすすめします。積み上げた分だけ自信になります。
④楽観しよう
これまでの積み上げを土台として、「きっと受かる」と楽観的に考えてみてください。「ダメかも」と思いながら勉強すると、本当に集中力も落ちてしまいます。
人間は、口に出したりSNSに書いたりした言葉に自分を合わせていく生き物です。それだけ自己暗示は強力です。
根拠のない自信は危ういですが、①〜③の積み上げがあるなら、胸を張って「大丈夫」と言ってよいのです。
⑤養成課程も視野に入れよう
どうしても中小企業診断士になりたい、でも二次試験の突破は厳しいと感じるのなら、「登録養成課程」を検討するのも一つの道です。
費用(250万円前後)と時間(早くて半年、長いと2年)がかかりますが、二次試験と実務補習をパスして、ほぼ確実に診断士登録ができるのは大きいです。
インターネット上では「登録養成課程出身者は下に見られる」などの言説が散見されますが、少なくとも私が所属する協会や、関わりのある先生方に、そのような考えを持つ人を見たことはありません。
大切なのは、どう資格を取ったかではなく、取った後にどう活かすかです。これに限らず、インターネット上の声は真に受けすぎないようにしましょう。
終わりに:「受かる気がしない」は合格への道のり
今回は、中小企業診断士の二次試験に「受かる気がしない」と感じている方に向けて、その気持ちが生まれる理由や対処法をお話ししました。
「受かる気がしない」という感情は、真剣に取り組んでいる証です。むしろ、それがあるからこそ、人は工夫し、成長します。
ただし漠然と不安を抱えているだけでは、先に進めません。
- どのレベルの答案を作る必要があるか
- 自分と合格レベルはどれくらい離れているか
- では、自分は何をすべきか
これらを具体的に考え、勉強を積み上げた先に合格があります。
今は暗闇の中にいるように思えても、日々の積み上げが必ず光になります。
「誰かにできたなら、自分にもできる」と大きく構えて、焦らず、一歩ずつ進んでいきましょう。
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