
せっかく中小企業診断士の資格を取ったのに、会社が副業禁止で何もできない…
こんな悩みを抱える方は少なくありません。中小企業診断士の資格を活かして何か副収入を得たいと思っても、就業規則で明確に“副業禁止”とされている場合、慎重に動かざるを得ません。
とはいえ、「副業=すべて禁止」というわけでもありません。実は中小企業診断士としての活動の中には、報酬を得ない形で社会と関わる方法や、将来に向けて“仕込み”をしておける活動もあります。
この記事では、副業禁止の環境下でも診断士資格を活かす現実的な方法と、どうしても副業したいときに考えるべき選択肢を紹介します。


執筆者:花月 諒(中小企業診断士)
通信講座と独自の二次試験解法を用いて、約200時間の学習で中小企業診断士試験に一発合格。効率の良い勉強法や合格をつかむマインドを発信。2024年より株式会社あおいFASで、中小企業向けの事業再生支援やM&Aに従事。福岡県中小企業診断士協会所属。


副業禁止でも診断士としてできることはある?
まず前提として、「副業禁止=中小企業診断士の活動は一切できない」というわけではありません。
多くの企業の就業規則では、「報酬を伴う継続的な活動」を副業と定義しており、報酬が発生しない活動や一時的な協力は副業に該当しないケースもあります。
たとえば以下のような活動は、問題視されないことが多いです。
- 診断士の研究会・勉強会への参加
- 匿名での情報発信(ブログやSNSなど)
- イベント登壇(無報酬)や執筆(同様)
- 同僚・友人の相談に無償で乗る など
診断士としての知識を深めたり、人脈を広げたりする意味でも、これらの活動には大きな価値があります。
また副業が解禁されたとき、いきなり稼ぐのは簡単ではありません。だからこそ、今のうちから以下のような「仕込み活動」を進めておくことが重要です。
- 匿名でブログやnoteを始めて実績を蓄積する
- X(旧Twitter)などで情報発信の感覚をつかむ
- 補助金制度などについて研究・整理し、ノウハウ化しておく
- 名刺やプロフィールの整備、Canvaなどのツールに慣れておく
これらは収益化していなければ「副業」に該当しない場合が多く、グレーゾーンを避けながら将来の準備ができる賢いやり方です。
許可制なら、まず相談してみよう
企業によっては、「申請すれば副業が可能」「年に1〜2回の単発ならOK」など、柔軟な制度を設けている場合もあります。その場合、次のようなスタンスで上司や人事に相談するのも一つの手です。
- 「本業に支障をきたさない範囲で、スキルアップとして行いたい」
- 「報酬はわずかで、土日に限定して活動する予定です」
中小企業診断士の活動は、企業にとっても価値のある学びであり、うまく説明すれば“自己研鑽の一環”として認められることもあります。



実際に私もコンサルティング会社に勤めながら、会社に申請して許可を得て、副業に取り組んでいます。
ただし副業に励むあまり本業がおそろかにならないよう、くれぐれも注意しましょう。周りから「アイツは副業に力を入れているから本業をサボっている」などと思われたら悔しいですし、まずは本業で会社に貢献することが重要です。
副業が禁じられている職業の代表とも言える公務員の世界でも、限定的ではありますが副業や兼業の弾力化に向けた動きが見え始めています。
人口減少下においては、官民が連携した人づくりや公教育の再生・改革により、一人一人が持つ可能性を最大限引き出すことが必要です。そのために大事なことは、教育の内容と質であり、子供たちをどのように育てたいのかを明確にすることです。知識や能力だけでなく、歴史や文化、地域や周りの人を大切にし、行動する力を有した人材や、大学や農業・工業高校等における観光等の地域の魅力やニーズを捉えた産業やサービスを支える人材を育成します。教職員の働き方改革や給与面を含む処遇改善等を進めます。
これらの取組を応援するため、地方公務員の兼業・副業の弾力化、会計年度任用職員の在り方の見直し等により、地域の中の方々が力を発揮できる環境を整備します。国の職員が、課題を抱える市町村に寄り添って、顔が見え、熱が伝わる伴走支援を行う仕組みを新たに始めます。
「自分の職場では副業は無理だ」とハナから諦めず、まずは勤め先と対話をしてみましょう。
それでも禁止…なら「転職」も選択肢
もしあなたが副業をしたい気持ちが強いにもかかわらず、企業側が一切認めないという場合、転職を含めてキャリアを見直すタイミングかもしれません。
副業が制限されている企業では、柔軟な働き方や個人のキャリア形成に対して閉鎖的な文化が残っていることも少なくないからです。
前述の通り、最近では公務員の副業解禁が議論されるなど、社会全体として「スキルを活かした複業」が浸透しつつあります。そうした潮流の中で、あなたの資格や志向に合った働き方を実現できる職場を探すのも前向きな判断です。



中小企業診断士は、外資系や監査法人系などのファームへの転職にはあまり役立ちませんが、私の現職のような、中小企業の支援に特化したコンサルティング会社の採用においては一定程度プラス評価される場合もあります。
診断士資格を「収益化」せずに活かす方法まとめ
最後に、副業禁止の方でも取り組める活動をまとめます。
- 診断士研究会やセミナーへの参加(無報酬)
- note・SNSでの匿名発信
- ブログでのアウトプット(広告収入がなければ非収益)
- イベント・講演の無償協力
- 将来に向けたスキル習得や資料テンプレ作成
報酬が発生しない範囲でも、中小企業診断士として学び・発信・人脈形成を行うことは十分に可能です。そしてその活動が、将来のキャリア形成に必ずつながります。
本記事で紹介したように、匿名での情報発信や研究会参加、スキルの棚卸しや仕込み活動など、できることから一歩ずつ始めてみてください。
そして、もしどうしても副業として活動したいという強い気持ちがあるなら、その意思を大切にして、「副業できる環境」を探すことも、人生において大きな前進です。



新しい世界に飛び出すのは勇気が入りますが、自分で決めたことならば後悔はありません。世の中の常識にとらわれず、思い切って行動してみましょう!
中小企業診断士の副業に関しては、以下のような記事も書いています。ぜひ合わせてご覧ください。
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