
養成課程ルートで中小企業診断士を取ろうと考えています。働きながらでも可能でしょうか?
こんな疑問に、現役の中小企業診断士がお答えします。
養成課程(及び登録養成課程)は、座学と実習で経営を学ぶ機関で、修了すれば二次試験と実務補習をパスできます。




養成課程は時間や費用がかかる一方、修了すれば確実に中小企業診断士になれるルートして、検討する方も多いです。
養成課程を検討するにあたっては「働きながら通えるのか?」が最も気になることでしょう。本記事では、
- 働きながら通える養成課程の一覧
- 通学のスケジュールと学習負荷
- 働きながら通う際の注意点
- 実際に働きながら通った人の声
などをまとめて解説します。ぜひ参考にしてください。


執筆者:花月 諒(中小企業診断士)
通信講座と独自の二次試験解法を用いて、約200時間の学習で中小企業診断士試験に一発合格。効率の良い勉強法や合格をつかむマインドを発信。福岡県中小企業診断士協会所属。


中小企業診断士の養成課程は働きながら通える
結論から言うと、中小企業診断士の養成課程は働きながらでも十分通えます。
そもそも、中小企業診断士はビジネス経験を積んだ社会人が主な受験層であり、養成課程も社会人が仕事と両立して通えるように開講している機関が多いです。
具体的には、平日の夜間や土日に講義が行われます。たとえば、日本マンパワーの登録養成課程では、以下の曜日・時間に講義が行われます。(2025年6月時点)
- 火・木:18:40〜22:00
- 土:10:00〜17:40
勤務地やご自宅の場所にもよりますが、社会人でも十分に通える時間帯ですね。



ただし実習期間中は平日に企業訪問が入ったりします。
働きながら通える養成課程の例
現在、国内には養成課程が1機関(中小企業大学校)、登録養成課程が12機関(大学等)あります。
上表のうち「全日制」に⚫︎がついている期間は、平日の昼間に講義が行われるため、働きながら通うのは難しいです。
仕事と両立する場合、以下の9機関が候補となります。
気になる機関があれば、それぞれの公式Webサイトでカリキュラムや募集要項を詳しく調べてみましょう。
働きながら養成課程に通う際の注意点
働きながら養成課程に通う場合、以下の3点には注意が必要です。
- 最後まで通えるか?
- 実習のための休暇取得、休日作業ができるか?
- 会社や家族の理解・協力を得られるか?
それぞれ詳しく解説します。
最後まで通えるか?
まずはこれです。前述の日本マンパワーの例だと、以下のスケジュールで講義が行われます。
- 火・木:18:40〜22:00
- 土:10:00〜17:40
これを1年間続けることができるか、よく考えましょう。養成課程は省令での休学制度が定められておらず、仕事や家庭の状況が変化したからといって、簡単に休めません。
最後までやり切る覚悟があるか、まずはそれを考える必要があります。
実習のための休暇取得、休日作業ができるか?
養成課程は、座学は平日夜間や休日に行われる一方、実習は平日に入ります。企業訪問などを行う必要があるからです。
土日休みの会社でお勤めの場合、休暇を取らなければなりません。
また実習も、報告書(分析レポート)作成が大詰めになると、土日を返上して作業に充てなければなりません。そうした負担を受け入れられるか、きちんと考える必要があります。
会社や家族の理解・協力を得られるか?
平日夜間や休日を長期間潰すことになるため、ご家庭がある方であれば家族の理解・協力は必須です。
中小企業診断士を目指す方は、世代的に小さなお子さんを育てている方も多いと思います。家族との時間を犠牲にすることを、きちんと事前に説明して理解を得ておくことは非常に大切です。
また前節で説明した通り、実習期間中は会社を休む必要があります。職場の協力も欠かせません。
働きながら養成課程に通った方の体験談
働きながら養成課程に通った方々の体験談には、リアルな苦労と達成感が詰まっています。ここでは私のお知り合いの例をいくつか紹介します。
職場の協力を得て、1年間養成課程に通って中小企業診断士になりました。繁忙期は連日、深夜3時ごろまで報告書を作成しており大変でしたが、今でも養成課程の同期とは仲良くしています。(30代女性)
養成課程の実施場所と職場がすぐ近くだったので、1年間通い続けることができました。子どもが生まれたばかりで、妻には負担をかけてしまいました。診断士としての仕事を広げ、家族への恩返しがしたいですね。(30代男性)
最初は“楽して資格を取れる裏技”くらいに思っていたが、実際はかなりハード。チーム学習や発表が多く、思考力と人間関係の負荷が高かった。ただ不思議と、実習でぶつかっていた人ほど、診断士になった後も良い関係が続いているように思います。得難い経験でした。(40代・男性)
皆さんが口を揃えて言うように、養成課程は決して楽な道ではありません。それだけに修了後の達成感や、中小企業診断士として活躍したい気持ちの高まりは大きいと言えます。


おわりに
今回は「中小企業診断士の養成課程は働きながらでも通えるのか?」という疑問に答えました。
養成課程は、仕事を続けながらでも通える設計にはなっています。しかしそれは決して「楽に通える」という意味ではありません。
- 通学日程の確保(特に平日昼間の対応)
- 自己学習と課題への対応力
- 職場・家族の協力体制
これらがそろって初めて、1〜2年間の学びを走り抜けることができます。
もしあなたが本気で診断士を目指しており、筆記試験に不安がある、あるいは確実に資格を取りたいと考えているのであれば、養成課程は有力な選択肢の一つになるはずです。
まずは、通えそうな機関の説明会や資料請求から始めてみましょう。それが最初の一歩になります。
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