
中小企業診断士とMBAの両方を同時に取れる養成課程(大学院)があると聞きました。どこか教えてもらえますか?
このような疑問に、現役の中小企業診断士が答えます。
結論からいうと、以下5つの機関で中小企業診断士とMBAの両方を取得できます。(2025年6月現在)
これらは養成課程(正しくは登録養成課程ですが、本記事では便宜上「養成課程」で統一しますß)と呼ばれており、中小企業診断士の一次試験合格者が受験できます。
修了すれば、二次試験と実務補習をパスして中小企業診断士登録ができ、かつMBAの学位も取得できます。
この記事では、中小企業診断士の養成課程とMBAを同時に取得できる大学院の情報を中心に、そのメリット・注意点・費用感などをわかりやすく解説します。


執筆者:花月 諒(中小企業診断士)
通信講座と独自の二次試験解法を用いて、約200時間の学習で中小企業診断士試験に一発合格。効率の良い勉強法や合格をつかむマインドを発信。福岡県中小企業診断士協会所属。


中小企業診断士とMBAの違いとは?
中小企業診断士とMBA、どちらも「経営に関する知識を身につける」という点では似ていますが、目的・取得方法・活かし方が大きく異なります。
その違いを明確に理解しておくことで、自分に合ったキャリア選択がしやすくなります。
資格と学位の違い
中小企業診断士は経済産業省管轄の国家資格です。所定のプロセスを経て登録すると「経済産業大臣登録 中小企業診断士」を名乗って活動できるようになります。
MBA(Master of Business Administration)は、大学院を修了して得られる「学位」です。
取得プロセスの違い
中小企業診断士は試験合格または養成課程を修了することで取得できます。


一方、MBAは大学院の入試を突破し、講義の出席、論文の提出などのカリキュラムを修了することで取得できます。違いを表に整理すると以下のようになります。
項目 | 中小企業診断士 | MBA |
---|---|---|
取得方法 | 試験合格(または養成課程修了) | 大学院で単位修得&修士論文提出など |
学習期間 | 1〜2年(独学/養成課程) | 1〜2年(国内大学院) |
難易度 | ストレートの合格率は平均4〜7%程度 | 学費・入試・卒業の負担が重いが、合格率自体は高め |
コスト | 3〜30万円(養成課程経由なら200〜300万円) | 150〜300万円程度 |
キャリアパスの違い
中小企業診断士は、中小企業支援・補助金支援・再生案件・起業支援など、「日本国内の中小企業に向き合う仕事」に強いです。独立・副業にも向いています。


MBAは経営企画・新規事業・海外事業部門など、「企業内でのマネジメント・戦略構築職」に有利。国内大手企業や外資系企業で活躍する方が多いです。



どちらもキャリアアップにつながりますが、働き方の方向性は大きく異なります。
中小企業診断士とMBAは同じ「経営」を専門に学ぶものですが、身につくスキルやキャリアパスが違うからこそ、掛け合わせることで強い武器になります。
養成課程の中にはMBAを同時に取れる機関がある
前章で解説した通り、中小企業診断士になるルートには、試験合格のほかに養成課程を経由するルートがあります。
養成課程は全国に13機関(下表参照)あり、6ヶ月〜2年のカリキュラムを修了すれば、二次試験と実務補習に代えることができます。
13機関のうち、以下の5つはMBAも同時取得できるプログラムが組まれています。
法政大学のみ1年制ですが、平日昼間にも講義が行われる「全日制」のため、会社勤めの方は休職・退職しないと入れません。
他の4機関は平日夜間及び休日に講義が行われるため、働きながらでも通えますが、その代わりに2年かかります。





中小企業診断士をほぼ確実に取りつつ、MBAも一緒に取りたい方は、この5つを検討すると良いでしょう。
中小企業診断士とMBAの両方を取得する場合の費用
MBA付きの養成課程は、通常の養成課程より費用が高い傾向にあります。相場は250万円くらいです。
ただし本記事で紹介した5つの機関はすべて、厚生労働省の専門実践教育訓練給付金の対象講座に指定されています。
雇用保険の加入期間などの給付要件をクリアする必要がありますが、100万円以上の補助を受け取れる場合もあります。
また兵庫県立大学は、MBAを同時取得できる養成課程でありつつ、学費も180万円台と比較的リーズナブルです。
養成課程で受け取れる補助金については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください!


まとめ|診断士+MBAは強力な武器になるが、戦略的に選ぼう
中小企業診断士の養成課程とMBAは、一部の大学院で同時に取得することが可能です。
どちらも簡単ではありませんが、セットで取得することで理論×実務のハイブリッドなスキルが手に入ります。
ただし、費用・時間・体力の負担は大きいため、目的を明確にし、「何のために取るのか?」をよく考えて検討するのがおすすめです。
この記事を読んでくださった方のキャリアが、より自由で力強いものになることを願っています。
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