
社労士と中小企業診断士のどちらかに挑戦したいです。同レベルの難しさと聞きますが、実際はどうなんですか?合格率や偏差値じゃなくて、リアルな体験談が聞きたいんです!
こんなお悩みに、現役の中小企業診断士が答えます。
中小企業診断士と社労士は、いずれも働きながら目指せる資格として一定の人気があります。合格に必要な勉強時間や偏差値も近いと言われ、どちらを目指すか悩む方もいらっしゃるかと思います。この記事では両方の資格を勉強した私のリアルな体験談をお届けします。
結論から言うと、私は社労士の方が難しく感じました。実際、中小企業診断士には200時間ほどの勉強で受かりましたが、社労士は400時間近く勉強して不合格でした。完全なる主観ですが、両者の違いについてお話しします。


執筆者:花月 諒(中小企業診断士)
通信講座と独自の二次試験解法を用いて、約200時間の学習で中小企業診断士試験に一発合格。効率の良い勉強法や合格をつかむマインドを発信。2024年より株式会社あおいFASで、中小企業向けの事業再生支援やM&Aに従事。福岡県中小企業診断士協会所属。


中小企業診断士と社労士の違い(一般論)
他のブログなどにもよく書かれている、一般的な違いを整理します。
項目 | 中小企業診断士 | 社労士 |
---|---|---|
合格率 | 約4〜7%* | 約7% |
勉強時間 | 500〜1,000時間 | 800〜1,200時間 |
受験者数 | 約20,000人 | 約40,000人 |
試験方式 | 一次試験:選択式7科目 二次試験:記述式4科目 | 選択式試験:8科目 択一式試験:7科目 |
合格に必要な得点率 | 60%** | 65〜70% |
科目合格制度 | あり | なし |
暗記の比重 | 50%程度(体感) | ほぼ100% |
*一次試験、二次試験を一発で合格できる確率の目安
**二次試験は上位18%程度が合格するように得点が調整されており、実質的には相対評価の試験
両者は合格率や勉強時間は近いですが、試験方式が大きく異なります。中小企業診断士は二段階試験で、二次試験が記述式である点が独特です。社労士は選択式試験・択一式試験の2種類が1日で行われる一発試験です。
合格に必要な得点率が、中小企業診断士は60%であるのに対し社労士は65〜70%くらい必要です。この違いが結構大きいです。



転職のしやすさや年収は「人による」としか言えず、あまり比較する意味がないので割愛しています。
中小企業診断士と社労士の違い【リアルな実体験】
前述の通り、私は200時間で中小企業診断士に合格できた一方、社労士は400時間勉強して落ちました。率直に、社労士の方がきついと感じました。
正確にいうと、午前中の選択式は31点/40点でパスしましたが、午後の択一式が39点/70点で合格に5点届きませんでした。たった5点かと思うかもしれませんがこの差は非常に大きく、惨敗です。
本記事の執筆時点で不合格から半年が経ち敗戦の傷も癒えたので、当時を思い出しながら、社労士の勉強や試験のどこがきつかったのかを語ります。
①試験制度の違いによるプレッシャー
前章でお話しした通り、社労士は本番一発の試験です。おまけに各科目ごとに足切りラインが設定されています。これがめちゃくちゃプレッシャーになります。
例えば、選択式試験(条文や判例の空欄に当てはまる語句を、語群から選んで埋める)は8科目×5問の40点満点となっており、原則として全科目3点以上が必要です。(難しい科目は1点や2点に下がることもあります)
『労働一般常識』のように出題範囲が意味不明なレベルで広く「こんなの運ゲーだろ!!」と思う科目でも3点が必要。1問1問がずっしり重いです。国語のセンター試験の終盤に出る、1問8点の問題より重いです。
一方、中小企業診断士の一次試験は各科目で40点を切らないようにしつつ、全体で60%取れたらOKの親切設計です。一次試験には科目合格制度もあり2〜3年かけてゆとりを持って勉強することも可能です。
記述式の二次試験は上位18%が合格する相対評価の試験で鬼門とされますが、私はコツを押さえればそこまで難しくないと考えています。なぜなら、合格に必要な基礎知識のボリュームは少なく、どちらかといえば「考える力」を測っている試験だからです。
②社労士は暗記量が多い!
社労士の方に怒られてしまいそうですが、社労士の勉強はとにかく苦しかったです。いや、素直に言います。本当につまらなかったです。というのも社労士の勉強はほぼすべて条文や判例の暗記だからです。朝食をオートミールから暗記パンに置き換えないといけないレベルです。


少しでも楽しく、そして効率よく覚えられるよう工夫はしました。表形式で整理したり、変な語呂あわせを考えたり、厚生年金・国民年金の類似論点を一緒に勉強したり。それでも私は楽しさを見出すことができませんでした。
足切りの基準が厳しく手を抜ける余白が小さいこと、暗記量が多いことが短時間での合格を難しくしている要因に思います。
③社労士の択一式試験では「理解」も求められる
暗記がきついと言いましたが、それだけではありません。選択式試験は語群からの穴埋めですから暗記でどうにかなるのですが、択一式試験(5肢の文章を読んで正解を選ぶ)は、もう少し深い部分で理解をしていないと、太刀打ちできません。
私の場合、択一式も過去問題集や予備校の模試を3周復習してほぼ全部解けるようになっていたので「安全圏に入ったか?」と思っていたのですが、本番で設問文を読んで焦りました。全然パッとわからない。
実は「解けるようになっていた」が勘違いでした。私はただ正解の選択肢を「覚えていただけ」で、出題の角度が変わっても対応できるような「理解」には至っていなかったのです。



一方、中小企業診断士は出題範囲こそ広いですが、個々の論点で深い知識は求められていません。それと同じノリで勉強に挑んだのがそもそもの間違いだったのかもしれません。
あと、社労士は設問が長いです。
D 在籍型出向(出向先と出向労働者との間に、出向元から委ねられた指揮命令関係ではなく出向元との間に労働契約関係及びこれに基づく指揮命令関係がある形態)の出向労働者については、出向元、出向先及び出向労働者三者間の取決めによって定められた権限と責任に応じて出向元の使用者又は出向先の使用者が、出向労働者について労働基準法等における使用者としての責任を負う。
令和6年度社会保険労務士試験(択一式)問1 選択肢D
これは長い方ですが、選択肢1つ分です。これを210分で70問×5肢=350肢読まないといけません。計算したら1肢あたり36秒です。ゲシュタルト崩壊で倒れそうになります。
中小企業診断士と社労士、どちらに挑むかを選ぶポイント
ポイントはたった1つ。自分のキャリアプランに合った方に挑むことです。そんなの当たり前じゃん!と思うかもしれませんが、「何となく取れば役立ちそうだから」という程度の気持ちで勉強を始めてしまう人は実に多いです。社労士を勉強したときの私もそうでした。
中小企業診断士と社労士は全く分野が異なります。中小企業診断士はビジネスの知識を幅広く持つことを示す資格で仕事の自由度が高い一方、社労士は人事・労務領域のスペシャリストを目指す人のための資格です。単に試験の難易度で選ぶのはおすすめしません。
また、いずれの資格にも共通しますが、資格を取って独立すれば食べていけるほど甘くありません。



自分が実現したいキャリアに「士業」であることは必要なのか、そこからきちんと考えることをおすすめします。
まとめ
今回は私の主観で、中小企業診断士と社労士のリアルな難易度の違いをお話ししました。最後に要点を整理します。
- 社労士は一発試験&足切りがあり、精神的プレッシャーが大きい。
- 試験はほぼ暗記勝負で、内容的に面白みを感じにくい。
- 中小企業診断士は科目合格制度があり、試験の進め方に自由度がある。
- 自分のキャリアプランに合った資格に挑もう。あわせて、士業の取得自体が本当に必要かも考えよう。
何だか負け惜しみみたいな内容ですが、これが私の正直な感想です。
自分に合った資格が決まったら、今日から勉強を始めましょう。今日やらないと、いつまでもスタートは切れません。中小企業診断士に挑むことにした方は、以下の記事もぜひご覧ください!
コメント